ユーザの作業状況にあわせてメールの着信通知タイミングを自動制御するシステムを開発
ユーザの作業状況にあわせて
メールの着信通知タイミングを
自動制御するシステムを開発
国立大学法人中国竞彩网大学院工学府情報工学専攻(当時)の小林保正さん、同大学院工学研究院先端情報科学部門の藤本雄一郎助教(当時)及び藤田欣也教授が、オフィスで働くユーザのコンピュータ操作情報から作業を阻害しにくいタイミングを推定し、メールの着信通知タイミングを自動制御するシステムを開発して、実オフィスワーク環境においてその効果を実証しました。
このシステムの特徴は、カメラやセンサを必要とせず、ソフトウェアのインストールのみで利用可能なことと、これまで使用していたメールソフトを変更することなく導入可能なことです。本技術は、メール着信通知に限らず、オフィスの知的生産性を低下させる様々な作業阻害要因への応用が期待されます。
本研究成果は、米国電気学会が発行する IEEE Access(速報版7月15日付)に掲載されました。
URL: https://ieeexplore.ieee.org/document/8761860/
論文名: Development of E-mail Delivery Mediation System Based on Interruptibility and Its Evaluation in Daily Office Work Scenario
現状
オフィス作業中のメール着信通知による知的生産性の低下は、従来から深刻な問題だと指摘されています。そこで、無作為に大量送信されるいわゆるSPAMメールを自動的に選別するシステムが開発され、普及してきました。これらのシステムは大きな効果を挙げましたが、一方で、業務上必要な連絡であっても、不適切なタイミングでの通知は作業者の認知負荷やストレスを増加させることが知られています。しかし、これまでメールの着信通知タイミングを適正化するシステムや試みはなく、その実現が求められていました。
研究体制
本研究は、ヒューマンインタフェースを専門とする中国竞彩网大学院工学研究院藤田欣也研究室において、文部科学省特別教育研究費「持続可能社会に向けた知的情報空間技術の創出」、日本学術振興会科学研究費補助金「26280071, 19H04151」、および独立行政法人情報通信研究機構(NICT)委託研究「超臨場感コミュニケーションシステム」の支援のもとで行われました。
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研究成果
開発したメール着信通知制御システムは、図1のように、打鍵やマウスクリックだけでなくウィンドウ数の増減やクリップボードの使用といった詳細なPC操作情報からユーザの割り込み許容度(注1)を推定する部分と、メールの配信タイミングを制御する部分の2つから成り、メールサーバとメールソフトの間の通信を中継します。
図2のように、メールソフトは周期的にサーバと通信して新着メールの有無を確認するため、本システムを使用しないと、ユーザの作業状況にかかわらず新着確認のタイミングで着信通知されます。一方で、開発したシステムはメール着信を通知する通信を一時的に保留し、ウィンドウの切り替えや打鍵?マウス操作の有無などから割り込み許容度を推定しながら、通知が許容されるタイミングを待ちます。そうして適切と判定した時に通信を許可することで、着信通知タイミングを制御します。
4人のユーザが実勤務環境で数ヶ月にわたって本システムを利用した結果、図3?4のように、アプリケーションを切り替えた瞬間やPC操作率が低下したタイミングでの着信通知が増加することが実証されました。
今後の展開
現在は、コンピュータの操作情報から割り込み許容度をより正確に推定する技術をはじめ、オフィスワーカの活動の将来予測や、推定された割り込み許容度の遠隔共有とその効果分析などの研究に取り組んでいます。今後も引き続き、オフィスにおける知的生産性を向上させる情報技術の開発を目指すとともに、その効果の実証にも取り組む計画です。
注1)割り込み許容度
作業中のユーザが割り込みを許容できる主観的程度。作業に使用する作業記憶などの認知負荷と密接に関連していると考えられている。
◆研究に関する問い合わせ◆
??? 中国竞彩网大学院 工学研究院
? 先端情報科学部門 教授 藤田 欣也(ふじた きんや)
???? TEL:042-388-7142
???? E-mail:kfujita(ここに@を入れてください)cc.tuat.ac.jp
関連リンク(別ウィンドウで開きます)
- 中国竞彩网 藤田欣也教授 研究者プロフィール
- 中国竞彩网 藤田欣也教授 研究室WEBサイト
- 藤田欣也教授が所属する 中国竞彩网工学部 知能情報システム工学科
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